Kuina-chan

くいなちゃん2018年10月19日


6さいからの心理学」第2話では、人間の心はどういう仕組みで存在しているのか、特に心の大部分を司る「脳」と「神経」と「内分泌系」の大まかな役割について解説します!

「心は心臓にある」と考えられていた時代もありましたが、現代では概ね「のう」と「神経しんけい」と「内分泌系ないぶんぴつけい」などが組み合わさって実現していると考えられています。 また脳はいくつかの部品が集まった構造になっていて、それぞれの部品が概ね違った役割を担っているとされています。
脳のすべては明らかになっていませんが、これまでに定説となったものを紹介します。

脳の構造

ヒトの脳は大まかに3つの部分から成り、それぞれ「脳幹のうかん」「小脳しょうのう」「大脳だいのう」と呼ばれます。 「脳幹」と「小脳」では生きるために最低限必要な処理を行い、高度な処理はほとんど「大脳」で行われます(脳幹と小脳と大脳)。
脳幹と小脳と大脳
脳幹と小脳と大脳
脳の部位がそれぞれどのような機能を持つかを調べる方法として、その部位を損傷した患者を調べる方法や、刺激に対して脳のどこが活性化しているかを装置を使って観察する方法などがあります。
これらの方法で判ってきた「脳幹」「小脳」「大脳」について細かく見ていきます。

脳幹と小脳

「脳幹」は、「延髄えんずい」「きょう」「中脳ちゅうのう」「間脳かんのう」から成り(間脳は大脳側に含められることもあります)、生きるために最低限必要な処理を行います。
機能の一例として、「延髄」は心拍、呼吸、消化などの生命維持に必要な機能を制御します。 「橋」は左右の眼球運動を一致させるなどの協調動作を扱い、「中脳」は姿勢を維持したり瞳孔の大きさを調整したりします。 「間脳」はほとんどの感覚情報を中継する役割を持ちます。
また「小脳」は、大脳を補佐したり、非言語的な記憶や、意識して体を動かしたときの協調機能を担っています。

大脳

「大脳」はヒトの脳の大部分を占め、言語や分析的な思考を扱う「新皮質しんひしつ」と、記憶や情動を司る「辺縁系へんえんけい」と、様々な機能を持つ「基底核きていかく」から成ります。
特にヒトの新皮質は著しく発達していて、4つの「よう」と呼ばれる部位から成ります(新皮質)。
新皮質
新皮質
頭の頂上にある「頭頂葉とうちょうよう」は空間感覚や数字による計算を扱い、額の裏にある「前頭葉ぜんとうよう」は概念化や思考や計画を行い、耳の周りにある「側頭葉そくとうよう」は聴覚と言語と一部の記憶を扱い、頭の後ろにある「後頭葉こうとうよう」は視覚を処理します。

部位と機能について

以上、脳の各部位がそれぞれ固有の機能を分担しているかのように説明しましたが、実際にはそう単純ではなく、例えばラットの脳の中で損傷すると迷路の学習能力が失われるような局所的な部位は見つかっていません。
つまり、脳の複数の領域が同時に活動することで初めて様々な機能が生じていると考えられています。

右脳と左脳

ここまでは脳を部位ごとに見てきましたが、今度は脳を左右に分けたときの機能差について説明します。 いわゆる左脳と右脳、脳の左半球と右半球は、見た目は似ていますが異なる機能を持つことが判っています。
よく言われる、人間が「左脳が優位なタイプ」「右脳が優位なタイプ」に分けられるという俗説には科学的根拠がなく、左右の脳の使い方には個人差がほとんど無いことが判明しています。 ただし左右の脳自体には違いがあり、「左脳は論理的」「右脳は感覚的」というイメージは少しは当てはまっています。
例えば、Mark Jung BeemanとChristine Chiarelloの実験によると、「foot」を瞬間的に提示すると、関連語である「heel」には脳の左半球のほうが早く反応し、また「foot」「cry」「glass」を提示すると、何となく関連する「cut」の単語には脳の右半球のほうが早く反応したそうです。
またRoger Sperryの実験では、「カップ」の絵の情報を左半球だけに送るようにすると、実験参加者は「カップ」と答え、「スプーン」の絵を右半球だけに送ると、実験参加者は「何も見えない」と答え、見たものを手探りだけで探すように指示すると、触覚だけで「スプーン」を選び、何を選んだのかを言葉で確認すると、実験参加者は「鉛筆」と答えたそうです。
他にも様々な実験から、左半球は論理的な推論や言語の文字通りの解釈に優れていて、右半球は直感的な推論を行うことに優れていると考えられています。

神経の構造

さて、脳の内部と全身には「神経しんけい」という糸が張り巡らされ、それを使って情報をやりとりしています。 まずは神経を大まかに分類し、また神経内部の構造について説明します。

神経の分類

神経に関わるものとして、「脳」と、首から腰あたりに伸びている「脊髄せきずい」と、脳や脊髄から全身へ伸びている「末梢神経まっしょうしんけい」があります。
「脊髄」は全身の感覚を脳に送ったり、脳からの指令を筋に送って運動させたり、反射を司る機能を持ちます。
脳と脊髄から全身に伸びている「末梢神経」には、運動や感覚を扱う「体性神経たいせいしんけい」と、内臓の働きや腺の分泌を調整する「自律神経じりつしんけい」があります。

ニューロン

これらの神経は「ニューロン」と呼ばれる細胞が集まって出来ていて、1つのニューロンは、複数のトゲのような「樹状突起じゅじょうとっき」と長く伸びた「軸索じくさく」から成ります(ニューロン)。
ニューロン
ニューロン
軸索の先端は、他のニューロンの樹状突起や筋繊維と繋がっていて、情報を伝播させていきます。 この繋がっている部分は「シナプス」と呼ばれます。
ニューロンが刺激を受け取ると、細胞内にナトリウムイオンが流れ込んで部分的に電位差が逆転し、その電気信号が軸索の先端にあるシナプスまで伝播していきます。 この電気信号がシナプスに届くと、軸索の先端から「神経伝達物質しんけいでんたつぶっしつ」と呼ばれる化学物質が放出され、別のニューロンや筋繊維の刺激となって情報が伝わる仕組みです。
神経伝達物質には様々な種類があり、ニューロンによって興奮させたり抑制させたりと機能が異なります。 神経伝達物質の例として「アセチルコリン」「ノルアドレナリン」「セロトニン」「GABA」「ドーパミン」「アドレナリン」「グルタミン酸」などがあります。

内分泌系

神経とは別に情報を伝達する、「内分泌系ないぶんぴつけい」と呼ばれるルートがあります。 内分泌系では、各組織が「ホルモン」と呼ばれる化学物質を血液に流し、別の組織に情報を送ります。 神経では情報が瞬時に送られますが、内分泌系の情報は血液を通じてゆっくりと送られて持続的に作用します。
ホルモンを分泌する器官には、間脳の「視床下部」や、脳の直下にある「下垂体」、首の前面にある「甲状腺」「副甲状腺」、「膵臓」などがあります。 このうち「下垂体」は「視床下部」の制御下にあり、他の器官のホルモン分泌を調整する役割も持つ、影響力の大きい器官です。
ホルモンの例としては、ストレスを緩和する「オキシトシン」、血糖値を下げる「インスリン」、血糖値を上げる「グルカゴン」、心拍数や血圧を高める「アドレナリン」、体内時計を調整する「メラトニン」など様々です。
今回は、心を実現させていると考えられている各器官について説明しました。 次回は実際にそれらの上で成り立つ、感覚や知覚について解説します!
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